一夜開けて
冷静になって、やっぱりツラい。
共に過ごした日々の思い出がよみがえり、嬉しそうに腕を組んだ彼女の笑顔が、知らない誰かの隣で輝いている姿が、夏の青い空の下で、行ったことのない場所で、彼女が微笑んでいる。妄想が自分を苦しめる。
一緒に目指した結婚という目的地を、今は他の誰かと目指しているんだ。その事実が心を蝕む。笑ってキスして、幸せになるのかと思うと、「どうしてあのとき…」ばかり。
遅すぎた。
覚悟も、就職も。
今は二人望んだ形にようやくなりつつあるというのに、もうそれぞれの歩みが交わることはない。
今は……
今なら……